完全分析! どこよりも詳しい 広告宣伝ガイドライン(第3版)

2025.06.13 / 組合・行政

2025年5月29日、ホール関係4団体(全日遊連、日遊協、MIRAI、余暇進)が、パチンコホールの広告宣伝ルールを自主的に定めた「広告宣伝ガイドライン(第3版)」を正式に発表した。直近同ガイドライン第2版は2024年2月29日に発出されていることから、1年3カ月ぶりの更新となる。

今回の第3版では、第2版までにまとめられた、遊技機の性能や設定状況に対する誤解を招く表現の制限や、第三者に依頼して実施する取材等に関する広告宣伝ルールに加え、おすすめ機種の表示期間の設定や、第三者による電話やメールなどを用いた取材、取材スタッフの来店を伴わない取材についての制限など、新たな内容の追加や変更が明記された。

また、周知期間を設ける必要があることから、新たに追加された広告宣伝の運用基準への違反行為に対しては指導(注意喚起)することとし、原則として7月1日以降に行われた広告宣伝から「是正勧告」を適用することも併せて通達された。

さらに今回は、ガイドラインの発表に合わせ、「Q&A」も第2版として新たに改訂。新ガイドラインの理解を促進するため、より具体的な事例をもって解説している。

しかし、ホール現場からは難解な文章や解説文を読むだけでは、どの部分が追記され、また変更されたのかが分かりにくいとの声も聞かれる。そこで、PiDEA編集部が総力をあげ分析した結果をもとに、どこよりも詳しく、そして分かりやすく広告宣伝ガイドライン(第3版)を解説する。

広告宣伝ガイドラインを理解するための大前提

広告宣伝ガイドライン(第3版)を解説するに際して、まずはホール関係4団体が定めるガイドラインそのものの位置付けについて改めて説明したい。

発端は、3年前の2022年12月23日に警察庁が都道府県方面警察に向け発出した、「ぱちんこ営業における広告及び宣伝の取扱いについて」という通達である。通達文を簡単に要約すると、「最近、ぱちんこ業界では、業界の団体が中心になってルールを作り、健全な運営を目指して努力を進めています。広告や宣伝についても、まずは業界が自分たちで守るようにしながら、警察は特に問題があるところに重点を置いて指導や取り締まりをしていきます」という内容で、それまでの広告規制を実質的に緩和した。

これを受け、ホール関係4団体では、2023年1月23日、警察庁に、どこまでの広告宣伝が許容されるのかを確認するため、おすすめ機種の掲示や遊技結果の公表など6項目となる「質疑書」を提出。同「質疑書」の内容について警察庁で「問題ない」としたことから、ホールの広告宣伝の選択肢が大幅に増加した。

その一方で、緩和の根拠となった「業界の自主規制」の力を担保し、行き過ぎた広告宣伝が行われないよう、禁止事項を具体的に明記した広告宣伝ガイドライン(第1版)が発出されたのが、2023年2月9日。その後、Q&A、ホール関係4団体通知、是正勧告事例集の発出を経て、いわゆる「来店取材の告知」を容認する、第三者取材による広告宣伝ルールを追記した、ガイドライン(第2版)が発出されるに至る。

ここまでの経緯を踏まえつつ、広告宣伝ガイドラインを理解するにあたって大前提となるのは以下の4点。


1.ホール関係4団体が定める広告宣伝ガイドラインは、あくまで業界の自主規制であることから、風営法に抵触しない場合もガイドライン違反になる場合がある。
2.広告宣伝ガイドラインに違反した場合は、当該ホールに事実確認及び是正勧告が行われる。
3.是正勧告を行っても改善が認められない場合は、都道府県警察本部に情報提供を行う
4.複数回是正勧告を受けた場合は、ホール経営者(法人代表者)へ是正要請を行う。また遊技産業健全化推進機構へも是正勧告の状況等の情報提供を行う。


以上を踏まえ、次項からは、広告宣伝ガイドライン(第3版)の具体的な解説を行う。

ガイドライン(第3版)では 何が変更されたのか?

まず広告宣伝ガイドライン(第3版)で、ホール営業に直接関わる内容において、新たに追加されたり、変更されたりしたものは以下の通りである。


1.国民的行事、地域の行事及び各種記念日に関する広告宣伝(ガイドライン7P~8P)
2.遊技機に関する広告宣伝(ガイドライン8P~9P)
3.営業時間に関する広告宣伝(ガイドライン10P)
4.賞品及び総付景品に関する広告宣伝(ガイドライン11P)
5.第三者に依頼して実施する取材等に関する広告宣伝(ガイドライン11P~12P)
6.新規出店及び構造設備の変更に関する用語使用の基準(ガイドライン12P~13P)


以上、6項目が今回のガイドラインで追加・変更された部分だ。

以降、項目ごとにその詳細を解説していく。本稿を読み進めるにあたっては、広告宣伝ガイドライン(第3版)、同別紙、Q&A(第2版)をぜひ手元において読むことをおすすめしたい。

 

1)営業法人又は営業所のキャラクターや遊技機の登場キャラクター、ホールの店長等の誕生日及び就任日は、営業法人又は営業所に係る記念日には該当しない。

「新店長就任」等の広告は近年よく見かけるものであるが、単に就任のあいさつや自己紹介を記載することは問題ないものの、それと併せて「プロジェクト始動!」や、「本気を出す」等、性能改編や設定示唆をうかがわせる文言の使用はNG。

また「好きな機種」や「(就任告知における)おすすめ機種」の記載もNG。同内容の亜種として「店長誕生日」や「就任1周年」等の告知は、「記念日」に該当しないことからこれもNG。また機種関連キャラクターの誕生日の告知も、特定日に特定の機種を訴求する要素が含まれていることからNGとなる。

 

2)遊技機メーカー各社が独自に行っている「〇〇の日」(※〇〇はメーカー名)などのキャンペーンやイベント等に関しては、業界団体の定める記念日には該当しない。

遊技機メーカー独自の「〇〇の日」やイベントなどは、業界団体の定める記念日に該当しないため、ポスターの掲示を含めホールがこれを告知することはNG。

ただし「Q&A(第2版)」によれば、遊技機メーカー独自のイベントなどのうちホール関係4団体が確認したものについては、その都度、使用方法も含めて通知し、通知の内容に反しない限りホールが告知を行っても問題ないとしている。例えば3月31日10時開店とだけ書かれた店頭ポスターの背景がキリン柄ならOKなのか現時点では不明。
 

 

1)「新台」とは、店舗に導入後30日以内の遊技機とし、「準新台」とは、店舗に導入後60日以内の遊技機とする。
2)「おすすめ」する遊技機については、7日以上継続して表示することとする。

今回のガイドラインにおいて、大きな変更内容の一つが、この「機種のおすすめは7日以上」。第2版までは「日替わりでのおすすめは禁止」であったが、第3版ではより厳しい規制となった。

さらにおすすめ期間中の追加・変更も禁止となっていることから、例えば1月1日から1月7日まで「ジャグラー機種がおすすめ」と掲示したうえで、1月3日から1月10日まで「北斗の拳おすすめ」を追加することもNGとなっている。

ただし、複数機種を同時に7日以上おすすめすることは問題ないものと思われる。

これにより「週末はおすすめ」という表現もNGとなる。また「装飾変更」などの文言(実際に装飾を変更していても)も、おすすめの「隠語」として捉えられるためNGと明記されている。

これは、質疑書やガイドライン等が定める本来の「おすすめ」の使い方と、現場での実運用の中で使用される「おすすめ」(=出玉)との意味の乖離が、もう建付けや建前では収まらないというホール関係4団体の判断が下されたが故の強い警告であると受け取れる。
 

 

この部分では新たに「時差開店」についてのOK・NG事例について記載されている。まず、「時差開店」がOKなのは以下の3パターン。

①変更承認待ちの遊技機について、当日の開店時間後に承認を受けることとなるすべての遊技機の時差開店を行う場合
②パチンコ全体又はパチスロ全体の時差開店を行う場合
③遊技料金又は仕様等が同一の遊技機について、実質的に特定機種と見なされない1ボックス全体(通路両面全体)で連続に20台程度を超えて設置している場合
逆に「時差開店」の告知がNGと明記されているのは、以下の5パターンである。
1)営業時間の案内や変更について設定状況等を示唆する表示を行うこと
2)時差開店の表示について、対象の一部の機種又はシリーズを明記することなど
3)一部の遊技機(変更承認待ちの遊技機を除く)を対象として表示すること
4)1日に複数回の時差開店を表示すること 5)対象コーナー名等を明記せず時差開店を表示すること

今回のガイドラインで大きく追加されたものの一つ。全国的に多くのホールが行ってきた「(一部機種の)時差開店」について、具体的な事例のもとOK・NGのラインが明確化された。

今までは「機種全体のうちの一部の時差開店(スマスロ北斗が20台設置されているうちの5台を時差開店させる等)が是正勧告対象となっていたが、機種等の時差開店については、「1ボックス(20台以上)」しか認められないこととなった。

「Q&A(第2版)」によれば、「スマスロコーナー時差開店」と称し、「北斗の拳」18台、「ヴァルヴレイヴ」1台、「モンキーターン」1台の時差開店(単一の機種またはシリーズの割合が大部分を占めている)もNGと明記されていることから、今後「時差開店」の告知については、シビアな判断が迫られることになる。

特記事項として、同じ「Q&A」に、「時差開店等、ホール営業者によるガイドライン規制違反の実態に改善が見られない場合には、より強い規制にせざるを得なくなります」とわざわざ書いているのを見ると、ホール関係4団体として、この「時差開店」広告のまん延について、強い危機感を持っているものと思われる。ガイドライン別紙1-(5)にかなり具体的な事例が書かれているので必ず目を通してほしい。
 

 

同一週内(月曜日から起算)において、特定の機種に関連した「賞品入荷」、「総付景品配布」の表示を変更・追加すること。

機種に関連する、または特定機種を想起させる賞品入荷の告知は、月曜起算で週1回に限定されたということ。同一週内で、月曜日に「ジャグラー賞品入荷」を告知し、水曜日に「サミー関連賞品入荷」を告知するのはNGということだ。

ただこの賞品入荷に関しては「Q&A(第2版)」に追記がないことから、不明な点もある。例えば、同日にジャグラー関連賞品と北斗関連賞品の入荷を告知するのはどうか。また月曜日に機種関連賞品入荷を告知した場合でも、特定の機種やメーカーと関連のない、グルメ賞品の入荷告知はOKと思われるが、「ゴーゴーカレー」や「モンスターエナジー(ドリンク)」は機種を想起させる賞品とみなされるのか不明。今後の是正勧告事例集等を参考にする必要があるだろう。
 

 

AIキャラクターを広告素材に使用した来店取材の告知をホール営業者が行うにあたっては、『当キャラクターはAI生成によるものです』等当該キャラクターがAI生成であることを表示すること」の文章が追加されているが、注目すべきは「禁止事項」として列記されているもの。

今回のガイドラインで禁止事項として明記されたのは、以下の4点。

1)第三者による電話やメール等の通信手段を用いた取材又はホール自らが行う取材など、取材スタッフの来店を伴わない取材について、事前告知を行うこと。
2)同一週内(月曜日から起算)において、特定の機種に関連した「第三者取材」の表示を変更・追加すること。
3)ホールが設定状況等を示唆する目的で、「第三者が公約系サイトやホール取材サイト、SNS等で用いている図柄等(引用・類似・連想等できるものを含む)」を表示する。

1)については、ホールが取材を告知しているにも関わらず、取材スタッフの来店を伴わない、いわゆるデータ公開系の取材告知はNG。これはAIキャラの「来店」告知や、アクリルスタンド等を利用した「来店」告知も同様と読み取れる。これに関しては、取材スタッフの来店を疎明する必要も生じる可能性がある。スタッフの来店を証明できる写真やカメラ画像のスクショ等の対策が必要となるだろう。

2)については、前項の「賞品入荷告知」と同様の考え方とみなして良い。同一の週内(月曜起算)に異なる機種の取材や、特定機種を想起させる演者が複数(別の機種)来店することはNGになると思われる。この点、ホールが注意すべきは、特定の機種を想起させない演者の来店で、特定機種の取材を前提としない一般的な来店であれば1週間のうち複数回行っても構わないと思われるが、その演者が「#PR」を付けて遊技する機種を紹介した場合、「おすすめ規制」なのか「取材規制」なのかは分かりかねるが、ガイドラインに抵触する可能性が生じると思われる。またホールが1週間「ジャグラーおすすめ」を表示している状況で、月・水・金の3回、ジャグラー機種の来店取材が行えるのかは不明だ。

3)については、ガイドライン第2版においても、いわゆる「公約」に基づいた来店取材は禁止となっていたが、媒体は新たに「公約はありません」と公言していても、過去に公約があった来店取材と類似したロゴを用いた取材もNGであることが追記されている。どこまでを「類似」と判断するのかは不明であるが、かなり厳しいジャッジが下される可能性は高い。
 

 

第3版では広告宣伝における「グランドオープン」と「リニューアルオープン・リフレッシュオープン」の文言使用について明確にラインが敷かれた。特に、リニューアルオープン・リフレッシュオープンに関しては、具体的な条件が示されているため、広告宣伝ガイドライン(第3版)の「別紙3」を精読してほしい。 以上が、現時点で広告宣伝ガイドライン(第3版)および関連書面から読み取れる新たなルールである。本誌が読者諸氏の手元に届く頃には、ホール関係4団体それぞれが新たなガイドラインの説明会を実施しているはずだ。不明な点については、それぞれの所属団体や都道府県組合に問い合わせをすれば対応してくれる。

広告宣伝ガイドラインは、第1版→第2版→第3版と、禁止事項が追加され全体感として規制が強まっているように見受けられる。そこには「ギリギリを攻めたい」、「書かれていなければセーフ」という業界特有の風潮に対する業界団体側の危機感が内在しているのだろう。パチンコホールの広告宣伝がこれ以上の制約を受けないためにも、全国のホールそれぞれの自覚と自制が求められている。

※本稿はあくまでPiDEA編集部の取材をベースにその見解をまとめたものです。ホール関係4団体の正式な見解とは異なる可能性もあることをあらかじめご了承ください。

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