パチンコユーザーの減少に立ち向かう〈第二弾〉

2024.10.11 / ホール

 パチンコの稼働減少を食い止めた逸話を持っている、KEIZギャラリエアピタ知立店の小原信行店長。かつて、富山田中店での成功事例で自信をつけ、規模も客層もまったく異なる知立店でも、顧客のニーズを見極めパチンコで業績を伸ばしている。その秘策を聞いた。

 

 

厳しい局面の知立店でしたが、
1・25円の増設施策がハマって序列が変わりました

 PiDEA X本誌8月号では、パチンコの稼働は危機的状況であることを特集した。本誌が発行されてから1週間が経った頃、パチンコの稼働を上昇させた事例があると聞き、愛知県のホールに飛んだ。向かった先は、KEIZギャラリエアピタ知立店。店長を務めているのは、かつて〝破天荒〟を自称していた小原信行店長だった。

 小原店長は、パチンコの稼働を上昇させることに大成功させた事例がある。それが2018年頃、KEIZ富山田中店の店長を務めていた頃の話だ。

 元々パチスロでの集客を中心としていたホールで、広告宣伝も数多く打ち、乱暴な言い方をすれば、「話題性をつくっておけば勝手に集まる店」だった。その反面、苦戦していたのがパチンコの集客だ。店長に就任したばかりの小原氏は、「なんでパチンコはこんなガラガラなんやろ」と不思議に感じていた。

 そこでまずはシンプルに出玉予算の配分をパチンコにも割り振ってみた。なおかつ、プロモーションに関しても自らが先頭に立って広告塔となりつつ、大崎一万発氏やヒロシ・ヤング氏などのパチンコ系ライターなどをホールに招へいし、夢戦と題した営業戦略を実施。

 初回はピークで650人しかいなかったものの、2回、3回と繰り返していくうちにピーク時には900人が集まり店内稼働率は80%を超えた。4円パチンコの稼働も4万アウトまで上がったという。

 なぜこのような方法ができたのか。

 「今で言うパチスロ的な集客方法をパチンコでも実践してみました。パチスロでいう設定6をツモるような体験をしていただく。あとはそういう勝ち体験ができることをコツコツと信頼を2年くらいかけて重ねていくことです。僕も店長になって1年くらいの頃で、まだまだイケイケでした。あの時代だからできたことで、今の店舗で同じような方法は通用しません」

 ちなみに、この時の手法は当時の富山市エリアではかなり認知されており、競合店のホール関係者がこぞって打ちに来るほどだったという。普段文句しか言うことのない常連客も「あんたこんなん私初めて」と思わず店長に話しかけるほど、その異変を感じさせることに成功した。

 それから時が経ち、今はKEIZギャラリエアピタ知立店の店長をしている小原氏。就任して7カ月。大型ショッピングモールのギャラリエアピタと駐車場を共有する複合施設であり、施設の滞在客は多いものの、平日のパチンコ客はそこまで多くはなく、低貸し年配層に支えられている状態だ。

 

広大な駐車場。写真の右手に見えるのがKEIZギャラリエアピタ知立店。
奥にあるのがショッピングモールのアピタである。
平日のお昼時であったが、買い物客で駐車場はほぼほぼ埋まっている。
人は多く滞在するエリアなだけに、もっと上昇するポテンシャルはある。

 

 周辺には愛知県屈指の稼働率を誇る大型店舗が2店舗あるが、そうした激しい競争環境がある中でも、小原氏はパチンコの稼働を上昇させている。

 「強い大型店舗とは敢えて戦いません。当店は1.25円パチンコのお客さまが中心で、2月からパチンコのテコ入れを開始。テコ入れ前の1月とテコ入れ後の7月を比較すると売上、稼働ともに125%増となっています」

 この間に小原氏が打った手が、4円1ボックスを1.25円に置き換えることだった。周辺には、KEIZ知立店と同じくらいの台数で競合している店舗、なおかつ低貸しユーザーが多いホールが3店舗ある。これが土日になると、同店も含めて低貸しはピーク時になると350名ほどのユーザーがいる市場である。一方で4円パチンコは80名平均程しかいない。

 「ということは1.25円パチンコを増やしても稼働割れすることはないと踏んで、4円の圧縮、1.25円の増設を行いました。それでも客数が増えたことで予算を大幅に達成することができ、この施策が今の所成功しているということです」

 8月は増台しつつアウト増させ、スマパチとミドル増やしたことでさらに売上が増えているという。8月のお盆期間、周辺商圏ではどの店もよくなかった。しかし、就任早々に1.25円増設の仕掛けを行い、グループ店がパチンコの稼働を落とす中、しっかりと周辺のニーズを見極め的確な施策を打った。

 

地域の一番店などとは張り合わず、自店の中心層である年配のユーザーを増やすべく1.25円パチンコを増設。
ここから業績を回復させ、本来狙っていきたい高単価のパチスロユーザーも視野に入れている。
部長と打ち合わせを密にして取り掛かった営業戦略でもある。

 

 「平成観光の中でもホールごとに稼働がTier分けされていて、知立店は中間層、所謂ミドルクラスの3番手でした。ただ、この1.25円の増設施策がハマってミドルクラスの中の序列が変わりました。ずっと同クラス2位のグループ店に負けていましたが、自店より台数も多い店に8月には何とか売上で勝つことができました。社内でも切磋琢磨するという気持ちを持って同僚の店長同士であおり合ってます(笑)。持論ですが、弊社の店長の中で生粋のパチンカーといえば私か、現在岐阜六条店の店長を務めているGマシン(@heisei_nishino)しかいないんです。だからお客さまの気持ちも分かるし、誰よりも語れます。今多くのホールはスロット屋と化しています。パチンコ屋なのになんでと言いたいですね。パチンコをなんでないがしろにするのと」

 平成観光は今年の8月10日に100℃守山店という店舗をM&Aする形でKEIZ守山店をグランドオープンさせた。これで19店舗目となり、まだまだ規模を拡大している。ここ1年半で「FA組」と言われる他社で店長、副店長経験してきた人材が30名近く入社し、社内が活発化しているという。

 

 

 「平成観光はこれから3年半のうちに、年商1400億を目指すという中期目標があります。広域で展開していくには、ブランディングはまだまだ。常にチャレンジャーという気持ちで泥臭いこともやっていかなあかんと思っています。会社に求められる存在意義と自分の存在意義をマッチングさせ、この業界に必要とされる人材を目指します!」

 パチンコはしっかり向き合えば稼働は上がる。パチスロと同じようにユーザー一人ひとりと向き合う努力が必要だ。

KEIZ知ギャラリエアピタ立店, 平成観光
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