究極のエンジョイ打ちで自分という良質顧客をセルフペルソナ化
結婚してお小遣い制になり、打つ頻度は減ったが、週5回は打ちに行く。打ち方は究極のエンジョイ打ち。甘デジから打ち始め、徐々に初当り確率の重いパチンコを打つという特殊な打ち方をするメガネ店長は、自分こそが良質顧客として、自分自身をペルソナ化して店舗運営に反映させている。
パチンコホールにとって1番重要なお客さまは誰かという問いへの最適な回答は、長く遊技を楽しみ売上に貢献してくれるエンジョイ層であろう。
そんな属性の客層を多く抱えることこそ、高稼働・高業績の店舗へと近づいていく。
マルハン東大和店のメガネ店長は、ホール運営にとって理想のユーザー像の打ち方をあえて自分自身が行っている。
パチスロの情報は同僚から聞けばいいと割り切り、自身が打ち込むのはパチンコと決め込んでいる。
メガネ店長もまた、「店長ならば打った方がいい」という論客だが、その理由はデータだけでは見えない部分を見にいくということだ。
例えば、AとBの機種で増台を検討する余地があるものの、予算的にはどちらかにしか投資できないという状況で、そんな時に自分の背中を押してくれる材料がほしい。いわば、上司に「なぜこの機種を?」と質問された時のための論拠を自身の遊技経験から探し出す。特にその傾向はパチンコに現れるのだと語る。
「人気のパチンコ台って、スペックが人気なことも多いですが、演出の間とかSEの気持ち良さが肝になってきますよね。これって実体験がないと分かりません。私の場合、特に増台戦略で成果を上げることができました(笑)」(メガネ店長)
マルハン東大和店は、23区を除く東京都下で最上位の稼働率 P-WORLDによると、東京都23区を除く市町村には132のパチンコホールが存在しているが、マルハン東大和店の稼働率はその1位、2位を争う。取材を行った日は平日の20時だったが、パチンコ・パチスロコーナーともに6割近い稼働を保っていた。同店では「毎日打ちに来れる環境」を重要視しているため、媒体系は一切不使用。それゆえ、業績が高水準で安定しているという。メガネ店長の細かいところまで行き届く視点は、一躍買っていることだろう。 |
メガネ店長が東大和店に赴任したのが2023年の10月。
当時、「エヴァ咆哮」「海物語」の2機種で稼働の軸はできあがっていた。さらにもう1本のパチンコ稼働の軸を生み出すことを考え、その中で目をつけていたのが「P北斗暴凶星」だった。
早くから自社データでアウトの推移に目をつけていた機種であり、もちろん自信もあったが、他の機種と悩んでいた。
どちらがいいか二の足を踏んでいた時に、自分で打ってそれが確信に変わった。
元々「暴凶星」の台数は10台だったが4カ月連続で増台を行い、最終的に25台まで増台。結果、月額の売上は1700万円から、4300万円と約2.5倍の上がり幅を生み出し、2月のアウトは42,000個。
新台導入月の平均アウトを大きく上回り、新たな稼働の柱とすることに成功した。
多くのホールがパチスロの好調に目をつけているが、メガネ店長の考えは逆。ホールの業績はパチンコが担っている。
だからこそパチスロだけではなく、しっかりパチンコの運営にも気を払っていきたい。だから身を持って自分のように純粋にパチンコを楽しむ顧客がどのようなポイントで店を選ぶか。そういった観点も持って遊技を続ける。
例えば、どんなサービスとオペレーションがあればそのお店を気に入るか。
良いものは自店に取り入れ、悪いものは反面教師としてお店に持ち帰る。この繰り返しの中で、優良顧客が好む環境へと常に進化をさせているのだ。
中でも特に気にかけているのが店の稼働だという。メガネ店長は取材陣に対し、
「私が打ちたくないなと感じるお店ってどんなのだと思いますか?」
と質問をしてきた。メガネ店長の答えは非常にシンプルだった。「ガラガラの店ですよ」と。
島内に自分1人しかいないような状況で、ユーザーは期待感を持って遊技することができない。
だから客ゼロの死に島をつくらないようにする。文字にすると当たり前のことだが、意外とデータだけを見ていると「メイン機が稼働していればいい」などと見落としてしまうかもしれない。
メガネ店長はこうした細かな気付きを、遊技の中で見出している。
楽しいが5割、ビジネスが5割といったところ。これが高業績の秘けつなのだろう。