月9日イベント狙いのガチ打ち派
神奈川県横浜市瀬谷区。近隣には町田、座間、大和などそれぞれの地域に全国でも有数の大手店舗がひしめき合っており、非常に競争が激しいエリアだ。その競合店に混ざりながらも輝きを放つグランドオータ瀬谷店。その店舗を任されているエイリやん店長によく打つ派の店長として意見を求めた。
ほどよくよれた「週七でパチンコ」というTシャツに身を包み、顔には宇宙人の覆面。目に見える部分でふざけられるところはすべてふざけて誌面に登場していただいたのが、グランドオータ瀬谷店のエイリやん店長だ。
月に9日ある休日は、すべて他店の特定日などに合わせて取り、そのすべてを朝の抽選からに合わせて稼働に捧げている。
稼働領域は神奈川県にとどまらず、東京、埼玉などだけではなく、年一で愛知県の某ホールのお祭りの日には毎年参加するほどのパチンコ・パチスロフリークと言っても良い。
エイリやん店長はさぞ仕事熱心な店長に違いないと聞いてみると、「こんな打ち方をしていてビジネス目線でなんて人いないですよ(笑)」と笑い飛ばす。そう。ほぼ自分が楽しみたいという欲求を解消するために店長として打っているのだ。「店長視点でみるところなんて100%ないですね」と豪語するのも彼らしい。
営業戦略や行動の判断軸は、とにかく「面白いか面白くないか」。こうした思想はXの運用にも現れており、約1万2000人のXフォロワー、いやファンの獲得にもつながっている。
本人は謙遜も交えて、Xもホールの営業もそんなに細かく考えていないというが、側から見ていてその面白さの追求という部分に多くのユーザーが魅了されているように感じる。
本人は楽しむために打っているし、店長ならば打て派の意見を持っているが、打たなくても業績は上げられるとも考えている。本当に普段打っていることに楽しむ以外の目的はないのか。
「パチンコ・パチスロを好きな人にとって店長という仕事がめちゃくちゃ面白いと思っています。例えるなら、居酒屋のテレビでプロ野球を見ながらあーせいこーせい言っているような人が、実際にプロ野球の世界で監督やってるようなもので、『俺ならここで6使うのにな』という考えを実現できるんです。
家庭環境とかお小遣い問題とかで打ちたくても打てない店長もいらっしゃるので、絶対に打てということはないですけど、面白さは違うと思います」(エイリやん店長)
そうなのだ。店長が面白く仕事をしていれば、自然とお店も面白くなるという理論だ。その上で、打つべきか打たないべきかは作る店によって変わる。店の目指すべき方向性は市場のバランスの中で決まる。
実は相当な激戦区を担当している
グランドオータ瀬谷店の徒歩圏内にはマルハン東日本Cの中でも高稼働店10指には間違いなく入る「マルハン横浜町田店」があり、車で5分圏内に「やすだ大和店」「ともえ大和店」。車で10分圏内に「メガフェイス1180座間店」「Super D'station座間店」といった競合がひしめき合っている。その中でグランドオータ瀬谷店は、何かしらの違いを生み出さなければならない。
長年風雨にさらされたのだろう、外観の犬のキャラクターは塗装がはげており、年季を感じさせる。これだけで同店が置かれている状況がなんとなくわかりそうなものだが、それでも強い日では稼働が7割くらいの日をつくれている。「面白いか面白くないか」がすべて。
エイリやん店長にとって、自分が打つことも、ホールの営業も、Xの運用も、すべてがそこにつながっている。
「瀬谷はまだ人がいるからいいですが、その前の川島店の時はもう人がいないですから。人よりも蛙の方が多いと言われているようなエリアだったので、しっかりと集められる稼働のピークの日をつくること。
ユーザーと同じように打っている店長がやっているいつでも楽しめる店をつくりたいと思っています」(エイリやん店長)
このスタイルで2023年末に瀬谷店に着任してから、パチスロが盛り上がっている波に乗って売上を大きく伸ばしている。しかし、それ以前は周囲の競合に押されている店舗であった。エイリやん店長のよく打つという行為は、あくまで個人的なものであるが、瀬谷というエリアで営業を安定させるためには結果として役に立っているということにつながる。
「バキバキのパチスロ大好きみたいな店長がやっているお店を僕自身も好きなのですが、そういう人の考えって基本的に強い日に打ちにいく人の考えだから、お客さまから『設定4なんて絶対使わない。5、6にこだわっている』と感じられているじゃないですか。そういう部分が店長のイメージで決まるんじゃないかなと。
店長はお店の鏡です。自分がこういうお店に行きたいと思えば、自然とそういうお店に近づけていけると思います」(エイリやん店長)
自ら打っていることをあえて言語化してもらった結果、「自分が行きたいお店の具現化」であった。自分が行きたいお店だから、打ちにいく店長の方がそのイメージを具現化しやすいということ。その思想はXで直接アピールされているわけではないが、日頃のポストから滲み出るものがあるのだろう。
だからこそ、店舗でもXでもファンを獲得でき、競争が激しい市場で戦えているのだ。レア台のアバサーを稼働させられるのは、ユーザー心理が分かるから。だからこそ広告宣伝費と割り切って運用できているのだ。