この企画でなぜ「OK」がでたのか?
パチンコ・パチスロの主流といえばアニメやゲームとのタイアップだ。しかし新台情報を見ると時折「変な台」がリリースされている。ここで気になるのはいったい誰が「変な台」を企画し、誰が承認しているのだろうか。普通のプレゼンでは通りえない変な台の企画がどのように会議を突破し、実現できたのか。開発の裏側を探る。
PiDEA編集部(以下略編) :今回は「P ANOTHER WILD RODEO~スギちゃんっス~(以下Pアナザーロデオ)」の企画ディレクターの三瓶さんにお話を伺っていきます。やっぱり前作でPVだけに出演したスギちゃんサイドから「今度はちょっと機種の方に……」みたいな話があったんですか?
企画ディレクター・三瓶さん(以下略三):いやいやいや、そんなことないですよ(笑)。豊丸の方から出演依頼をさせていただきました。
編:スギちゃんをオファーするのって「まーワイルドつながりなんだろうなー」と想像つくんですけど、実際どういう経緯なんですか。
三:……。おっしゃる通りです。ワイルドつながりのまま安易な考えで進めちゃいました(笑)。それでも企画が通っちゃう豊丸ってワイルドだろぉ〜?
編:本当にそれだけの理由でオファーしてるんですか!?
三:ぶっちゃけるとそうですね。あとは……これですね(お金のジェスチャーをしながら)。
編:えっ。いやらしい話なんですが、スギちゃんってどれくらいだったんでしょうか。
三:盤面への起用と、音声収録、販促用のスチールとかもろもろ込みで……って言えるわけないじゃないですか!
編:恐らくはリーズナブルなのでしょうが、そう考えるとスギちゃんってサービス精神が旺盛なんですね。
三:ありがたい限りです。なので僕ら、Pアナザーロデオを変な台だなんて思ってないんですよ。
編:では、豊丸さんお得意のオマージュ演出もお色気系もナシなんですか?
三:演出面ではやってませんが、機械を作っていく上でオマージュはしてますね(笑)。前作からの話になるんですけど、ロデオシリーズって規定秒数を耐える役物の仕組みが最初にできたんです。社内で世界観を作るための会議という名の連想ゲームを始めて、1番最初にオマージュしようとしたのが「クイズタイムショック」でした。時間が進むごとに役物の周りのLEDが消えていく台にすれば完璧じゃん! と。
編:え? 単刀直入に言いますけど、むしろそっちの方が面白そう。
三:そうなんですよ、役物の緊張感とベストマッチだったんです。それでテスト機を作ってみたんです。そしたらLEDのオンオフを大量に必要としたせいで、配線が膨大な量になってしまったんです。それで機械の裏側に積み込めなくて断念を余儀なくされました。ここから世界観が迷走してしまったんですよね。やっぱり役物機といえば昭和なんで、そこから連想ゲームをやり直しました。宇宙戦争を舞台にしたり、神様だ、じゃあ女神だ、なんだと。アイデアが広がっていったんですが、どうしても役物と世界観が納得いくマッチをしなかったんです。
編:お聞かせいただいた案でも別に悪くはないですよね。
三:1番の問題はそこなんですよ。素材はそこそこなんですけど、豊丸らしさを全面的に出せていないことが欠点でした。それで、豊丸らしさを出すためにこんな案も生まれたんですよ。「鯖威張る(サバイバル)」です。デザイナーさんの案で「役物に入った球を鯖に見立てて制限時間を耐え抜いたら、うまく焼けるんです!」って熱弁されたんですが、なんだか響かなかったんですよね。
編:サバイバルなのに焼けるんだ(笑)。これむしろ「また豊丸が変な台出したぞ」ってバズる要素だらけじゃないですか。
三:これはさすがにないでしょう(笑)。そんなこんなで5案ほど考えてから、ようやく闘牛士の案ができた時に、これだ! と思って世界観が決まりました。案を共有した時には開発陣からも「おぉ〜!」って声も上がって、ある開発者からは「スタン・ハンセンの入場曲みたいなBGMにしようぜ!」って提案を即受けたんです。そこからはとんとん拍子でPワイルドロデオができあがっていきました。
編:過程を聞くとやっぱり変な台ですよ。
三:至って大真面目なんですよ。でも「鯖威張る」が爼上に乗ったという点では認めざるを得ないですね。
今回の取材ですが、7月29日から31日まで行われた「スロパチフェスティバル2022」と同時開催された豊丸さんの「7月4日はナナシーの日2022」というイベントで、実は公開取材を行ってきました。7月30日に取材を行ったんですが、人に見られながら取材をするのも初めてだし、豊丸さんのイベントに出るからにはある程度は活気のあるコーナーにしたい!そんな使命感を掻き立てられましたが……結果は自己採点で、100点満点中、32点です。赤点をなんとか回避していてほしい。というかそうであってくれと願っています。 改めてYouTubeでトークを楽しませてくれる演者さんってすごいんだなと身に染みました(というか豊丸さん、なんで自分に白羽の矢を立てたんだ)。もし今後、変な台に豊丸さん関連の台が出てこなければ、もう呼ばれなくなったんだと察してください(笑)。
本誌192号で紹介させていただいた通り、他にも開発の裏話を聞けちゃったので、WEB限定で公開しちゃいます!
■鯖威張るの(サバイバル)以外にもこんな案があった!Pアナザーワイルドロデオの迷走したボツ案たち
宇宙戦争をイメージした銀河弾(ぎんがだん)。迷走臭がプンプンしますね。
女神をモチーフにした「FORTUNA フォルトゥーナの試練」なんだか、萌えにも振り切れてないし神々しさもイマイチだし、散らかっちゃってますね。
やっぱり個人的には、タイムショックのオマージュか鯖威張るで豊丸さんの悪ノリの真髄を見たかったです(笑)