大阪府・大阪市は2020年代後半の開業を目指し、大阪・夢洲への統合型リゾート(IR)の準備を進めている。9月28日にはIR事業者としてMGMリゾーツインターナショナルとオリックスのコンソーシアムを選定した。
大阪府IR推進局は府民にIRの理解を深める一環として11月25日、大阪市中央区の大阪産業創造館で近畿大学経営学部の高橋一夫教授を招き「アフターコロナにおけるIRの価値」をテーマにセミナーを開催した。
高橋教授はコロナ禍で不要不急の行動を控えた結果、2.5兆円もの家計の過剰貯蓄が膨れ上がった反動として、外食や旅行に跳ね返ってきたことを昨年10月のGo Toキャンペーンで実証されたことを指摘。イギリスでもロックダウンが解除された途端に、大手旅行代理店TUIには海外旅行の予約が500%増加した事例を挙げ、アジア圏で行きたい国は、日本が第1位であることを含め、「アフターコロナのインバウンドは期待できる」とした。
では、その時期はいつになるのか? アフターコロナの潮目は、2021年のワクチン接種として、2023年~24年には訪日観光客が2019年並みの3188万人に戻る、と予測した。
この流れで2025年には大阪万博の開幕、2020年後半にはIRの開業が控えている大阪には、「一定数のインバウンドが戻ってくる勢いがある」と期待を寄せた。
大阪のIRに関しては「ラスベガスにしてもカジノ目的の客は10%程度で、売上の50%はノンゲームになっている。レジャー客は景気に左右されるが、中核となるMICE施設によって平日観光を埋める役割が求められる。夢洲を国際観光の拠点として、バスや船などの送客機能を使って関西一円の観光を振興することがIRに求められる」と結んだ。