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乱世の獅子たち~第二章~ 佐藤洋治(株式会社ダイナムホールディングス 代表執行役社長)

―ダイナムは07年3月期の赤字から2年で驚異的な回復をし、さらに今期は過去最高の経常利益を見込まれています。まずこのドラスティックな変革を総括していただけますか。

佐藤代表執行役社長(以下、佐藤) 日本経済は過去40年近く拡大成長を続けてきました。バブル崩壊によって、例えば不動産や金融機関など苦しんだ業種もありますが、総合的にみて国内産業は輸出を柱に順調に成長してきたといえるでしょう。そして、その成長・拡大期のなかでは、どちらかというと財務や管理部門の人材が企業のトップに就いてきました。ところが、昨年あたりからマーケットが急速に縮小し、信用収縮も起き、すべてのモノが売れないということになると、財務ではもうどうにもならないのです。結局、財務畑では不良資産の売却、資産の圧縮、借金の減少というような方法でしか手の打ちようがない。それは間違いではないのですが、だからといって残された拠点で業績が確保できるか、といえば疑問符が付く。そこで必要なのは、現場に精通したトップが現場やお客さまや取引先の状況などをみて、「いま何が求められ」「どう変えたら良くなるか」ということに関わっていくことなのです。
ダイナムは2年前の07年3月期に創業40年の歴史で初めて赤字決算を出しました。当時それをどうやって回復しようかと考えたとき、財務畑の案は「資産の売却」ということで一度に27店舗を閉鎖しました。が、それをやったからといって業績が上がるわけではありません。業績を回復させるには大改革が必要であり、1店舗1店舗の現場がどういう状況か、ということを分析して赤字店対策を打ちました。

―具体的にどのような方法で分析され、どのような対策を打たれたのですか。

佐藤 各現場はレイアウトを含めほとんど頭の中に入っています。1店舗ずつ訪問しなくても、あの店は20年前の店だとか、通路幅がどのくらいだとかが分かります。それほど1店舗1店舗に執着しながら時間を過ごしてきたわけです。ですから各ストアマネジャーやゾーンマネジャーと逐次、連絡を取り合えば状況が手に取るように分かるんです。今回、休業していた25店舗のうち、外部に貸した5店舗を除いた20店舗を再開しました。また、廃業していた昔風の200台クラスの店舗まで再開し、それを黒字化していくつもりで、常に現場と電話でやり取りしながら状況を把握するとともに、現場にエールを送っています。そこで一番大事なのは、現場で働いている人たちが積極的にチャレンジしようという気持ちになることなのです。
07年3月期が底で、すでに07年1月から改革の準備に取りかかっていました。その3カ月間、各店舗の現状と過去の状況を洗い出してすべてが目に見えるように整理しました。どんな人が働き、どんな営業をやってきて、機械構成は、近隣の状況は、といったデータから店舗の償却や経費などのデータまですべてを5枚のシートに取りまとめました。その上で、07年4月から「新しい方針、新しい考えでやるぞ」と改革をスタートさせたのです。実際に効果が出てきたのは07年の下半期ですから、9月以降ですね。上半期はほとんど数字的な効果は出ませんでしたが、下半期から利益が出るようになり、結果的には08年3月期で120億円の経常利益が出せました。そして、08年の4月以降はその状況が1年間続いているので、今期は320億円の経常利益が出せる見通しです。

―「新しい方針、新しい考えでやる」というかけ声の中身を詳しく教えてください。

佐藤 大改革を行うにはひとつの対策だけではダメで、複合的に手を打たなければいけません。つまりヒト、モノ、カネ、情報、あらゆるものを同時に行ったのです。このうちヒトに関しては評価基準を変えました。これまで財務主導でやってきた常識として、まず売上があり、それに対しての粗利益率、例えば昨年が12%だから今年は12.5%だ、という目標値を決める。それから人件費、機械費などすべての経費予算を決め、残りの営業利益をはじいて各店舗に落とし込んでいく、ということをやってきました。が、その常識をまったく覆したのです。つまり「人件費」も「機械費」もいくら使ってもいい、と。ただし、「店舗の営業利益の目標値」は確保してほしい、と。店舗によって営業利益はそれぞれ違います。過去のデータを見ればAクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラス、Eクラス、赤字店といろいろあります。それぞれ努力目標値を決めてそれを確保するために、途中経過は現場の裁量に任せて、その成否で評価を行うようにしたのです。
また、日常の経営数値の数表から売上を除き「売上はもう見なくていい」と言いました。その理由は、1円貸玉営業の売上は4円貸玉の4分の1ではなくて、実際には6分の1になってしまうんです。で、台粗利は半分(2分の1)確保できればいいほうです。ですから数字的には極端に少なくなるんですけど、先ほど申し上げたような数表-簡単に言うとまず稼働、台粗利があって、それから機械費、人件費がある。そのうち機械費や人件費は店舗がコントロールできる範囲です。その他、もろもろの経費を引いて営業利益になります。ですから稼働、台粗利だけとなると1円でも4円とまったく対等に戦えるわけです。確かに4円ではダイナムの標準店のAクラスで3億円くらいの営業利益を上げる店がある。Bクラスで2億円、Cクラスで1億円です。でも1円営業だと良くてせいぜい1億円くらいですよ。それでも赤字だった時点から見ると、赤から黒ですから合計すればすごい回復なんですよ。赤字店であればあるほどそれを黒にする貢献度は高いんです。しかも赤字店の閑古鳥が鳴いていた店がAクラスに匹敵する稼働を上げている状況ですから。

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